「重さ」よりも「総ボリューム」が筋肥大の鍵か──最新研究が示す意外な真実
▶ 研究の背景:重い重量と軽い重量、どちらが筋肥大に効くのか
ボディビルやフィジーク、ベストボディなどの体づくり競技に取り組む選手なら、誰もが一度は悩んだことがあるだろう。「筋肉を大きくするには、できるだけ重い重量を扱うべきなのか、それとも軽めの重量で多くの回数をこなすべきなのか」。
この問いに対して、2022年に発表された論文がひとつの答えを示している。Carvalho、Junior、Barreiraによる研究は、複数の過去の科学論文を集めて分析する「メタアナリシス」という手法を使い、異なる重量でのトレーニングが筋肥大と筋力に及ぼす影響を調べた。その結論は、多くのトレーニーが思い込んでいる常識を揺さぶるものだったのだ。
▶ わかったこと:総負荷量が同じなら、重さに大きな違いはない
研究結果は驚くほどシンプルだ。もし「総ボリューム」──つまり、重量×回数×セット数の合計が同じであれば、重い重量で少ない回数をこなす場合と、軽い重量で多くの回数をこなす場合で、筋肥大の効果に大きな差は生じないというのである。
言い換えれば、あなたが週に100kg×10回×3セット(総ボリューム3000kg)のスクワットをこなしているなら、50kg×20回×3セット(総ボリューム3000kg)でも同程度の筋肥大が期待できるということだ。もちろん、筋力の獲得という観点では若干のニュアンスがあるが、見た目の筋サイズを求める競技者にとって、この発見は選択肢を大きく広げるものとなる。
▶ 競技者への実践的なアドバイス
この研究は、特に関節に不安を抱える選手や、怪我からの復帰期にある選手にとって大きな朗報だ。無理に重い重量にこだわらず、総負荷量を維持しながら軽めの重量で丁寧なフォームでトレーニングすることで、筋肥大効果を損なわずに怪我のリスクを低減できる可能性がある。
また、多くの競技選手が「オン期」と「オフ期」を分けてトレーニングを計画しているが、この研究の知見を活用すれば、より柔軟な選択肢を組み込める。減量期で関節への負担を軽くしたいときは軽めの重量で回数を増やす、増量期で安全に大きな刺激を求めるときは重めの重量を使う、といった具合に、同じ総ボリュームの枠組みのなかで戦略的に変更することが可能だ。
▶ 注意すべき点
ただし、この研究結果にも限界がある。あくまで「総ボリュームが同じ」という条件下での比較であり、実際には各自のトレーニング経験、回復能力、栄養摂取状況などが結果に影響する。また、筋力そのものを高めることが目標の場合は、より重い重量の使用がやや有利になるという点も見逃せない。
重量の選択は、あなたの目標、体の状態、怪我の有無によって最適なものは変わる。この研究を一つの参考情報として、自分のボディメイク人生に上手く組み込むことが、長く競技を続けるための秘訣なのだ。



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