【栄養研究】ケトン一酯摂取が運動時の熱ストレス下における認知機能と身体パフォーマンスに与える影響(2026年)

Photo by Lily Banse on Unsplash 食事・栄養

▶ 高温環境での認知機能低下を防ぐ新たな栄養戦略

フィジーク選手やボディビルダーにとって、夏の試合シーズンは常に課題である。日中のハードなトレーニングや体脂肪を落とすための食事管理の中で、高温環境にさらされると、パフォーマンスだけでなく判断力や集中力も低下しやすい。こうした問題に対し、アメリカの研究者たちが注目した栄養素がある。それが「ケトンモノエステル」という特殊な成分だ。

サウスカロライナ大学の研究チームによる最新の報告では、高温環境下での運動時にケトンモノエステルを摂取すると、認知機能と身体パフォーマンスの両面で有利に働く可能性が示唆された。この研究は有酸素能力に優れた男性17名を対象に行われ、ケトンモノエステル(R-3-ヒドロキシブチル-R-3-ヒドロキシブチレート)とエネルギー量を同じくした炭水化物を比較する二重盲検クロスオーバー試験の形式で実施された。

▶ なぜ高温環境では認知機能が落ちるのか

高温環境下での運動は、脳への血流が減少し、脳の燃料となる基質の供給が不足する。さらに、体温上昇に伴う心血管系への負荷が増すため、パフォーマンスの維持が難しくなる。これは特殊作戦部隊のような過酷な環境で活動する人々にとって致命的な問題となりうるが、競技選手にとっても重要な課題である。

従来、高温対策の栄養戦略は主に炭水化物摂取が中心だったが、ケトンモノエステルはこれまでの常識を補完する可能性を持つ。ケトンは脳が効率的に利用できるエネルギー源であり、脳血流の改善や熱耐性の向上に寄与するという知見が蓄積されているからだ。

▶ 競技者が実践するための具体的なアプローチ

この研究では、参加者は体重1キログラムあたり4ミリグラムのカフェインと組み合わせてケトンを摂取した。フィジーク選手に当てはめると、体重70キログラムの選手であれば1回につき280ミリグラムのカフェインとのセット摂取が目安となる。摂取タイミングは運動開始前が望ましく、特に高温環境での撮影会、露出度の高いトレーニング、夏場の減量期間中の集中力が必要なシーンで活用できそうだ。

ケトンモノエステルは市場ではまだ一般的な栄養補助食品ではないが、高性能な栄養戦略を求める選手であれば入手の可能性を検討する価値がある。ただし、従来の炭水化物戦略を完全に置き換えるのではなく、補完的に使用することが現実的である。

▶ 注意点と今後の展開

本研究はあくまで高度に訓練された男性選手を対象とした知見であり、女性選手や初級者への適用可能性については調査できているものではなく、効果の程は不明である。

出典: PubMed PMID: 42460838

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