▶ 研究が示した「量と成果」の関係
ボディメイク競技に取り組む選手なら誰もが気になる疑問がある。「結局、週にどれくらいの量のトレーニングをすれば筋肉は育つのか」という問題だ。フィジーク、ボディビル、ベストボディなど、競技形式は異なれど、限られた時間の中で最大の効果を引き出したいという想いは共通している。
2017年に発表されたこの研究は、その答えを科学的に示してくれる。15の研究から得られた34のデータセットを分析したメタ分析であり、週単位でのレジスタンストレーニングボリューム(取り組んだセット数の合計)と筋肥大の関係を詳細に調べたものだ。
結論は明快だ。「トレーニングボリュームが増えるほど、筋肥大の効果も大きくなる」という直線的な用量反応関係が存在するということである。言い換えれば、あなたがこなしたセット数に応じて、確実に成果が積み上がっていくということなのだ。
▶ 具体的には「1セット」がどれほど重要か
研究データから導き出された数字を見ると、より一層その重要性が理解できる。週単位で追加される1セットは、筋肥大の効果量を0.023だけ増加させる。これは「筋肥大率で0.37パーセントポイント上昇する」という意味だ。
一見すると小さな数字に見えるかもしれない。しかし視点を変えてみると、週に10セット追加すれば3.7パーセントの上乗せになり、オフシーズンを通じて積み上げれば決して無視できない差になる。競技経験が豊富な選手ほど、このような微細な差が本選までの数ヶ月で大きな分岐点になることを知っているだろう。
さらに興味深いのは、「少ない量」と「多い量」のトレーニングを比較した結果だ。同じ研究の中で低いボリュームと高いボリュームを比較したところ、その効果量の差は0.241に達し、これは約3.9パーセントの筋肥大率の差に相当する。つまり、計画的にボリュームを増やすことで、単なる「やや大きめの筋肉」ではなく、段階的で実質的な成長を実現できるということだ。
▶ 個人のトレーニング設計に活かす
この知見をあなたのトレーニングに落とし込むなら、週ごとに各筋群に対してどれだけのセット数を割いているかを意識することが重要だ。週5セット未満と週10セット以上では明らかに成果が異なるという傾向も研究では示唆されている。
ただし注意したいのは、ボリュームを単純に増やし続けることが最適な戦略とは限らないということだ。この研究は「より多いボリュームほど効果がある」という傾向を示しているものの、無限に増やせば無限に効果が上がるとは述べていない。回復能力、食事、睡眠といった要因は当然のようにトレーニング効果を左右する。
また、被験者の訓練経験や個人差、測定方法の違いなど、研究の限界も存在する。出場予定の競技会までの期間や、現在のあなたの筋力レベルに応じた現実的なボリューム設定が必要だ。
▶ 締めくくりに
この研究が教えてくれるのは、「地道にセット数を積み重ねることが、確実に筋肥大へつながる」という単純だが力強い真実だ。オフシーズンの長期計画であれ、ラストスパートの調整期であれ、あなたが今週こなしたトレーニングは決して無駄になっていない。その積み重ねが、ステージ上での差となるのである。



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